2007
井上隆広
1994年 豪 103分
配給:ヘラルド・エース+日本ヘラルド映画
=あらすじ・解説=3人のドラァグ・クイーン(派手な女装をしたゲイ)がプリシラ号というバスに乗って、シドニーからアリス・スプリングスまで約3000kmの旅をする。バイナディット(テレス・スタンプ)は、エレガントだけれど凄みのある性転換者。ミッチ(ヒューゴ・ウィーヴィング)は結婚していてそれを隠しているバイセクシャル。フェリシア(ガイ・ピアーズ)は、ノーテンキで世間知らずの若いヤツ。3人はショーガールという肩書きでのみ結ばれている。
ミッチの誘いで、3人はアリス・スプリングスでホテルのショーに出るためにプリシラ号を走らせる。交代で運転する道中、騒ぎっぱなしのフェリシアにバーナディットはうんざり。なぜか元気のないミッチにフェリシアは尋ねる。「アリス・スプリングスなんてド田舎のホテルをなんで知ってるの?」ミッチは意を決して打ち明ける。「オーナーは私の妻なの」「6年間、音信不通だったんだけど、突然電話がかかってきたのよ」「えっ、ミッチが女と結婚!?」2人はびっくり仰天、呆れ果てる。3人はブロークン・ヒルという田舎町に到着。ホテルにチェックインを済ませ派手な格好でバーに繰り出す。他の客が3人に注目する中、飲み物を注文するとごっついおばさんが出てきて「お前らに飲ませる酒はない」と彼女達を追い出そうとする。するとバーナディットが強烈なジョークでおばさんをやり込め店内は大爆笑。これをきっかけに店中楽しく飲み始める。しかし、翌日3人が見たものは・・・。
アリス・スプリングスを目指して再び旅は始まる。世間の人からの虐待、アボリジニとの出会い、バーナディットの恋など、様々な出来事の末、3人はアリス・スプリングスにたどり着く。そしてあの派手な格好でキングス・キャニオンへ。頂上に登った時、3人の心にこみ上げてくるものは一体・・・。
■DIDGERIDOO〜
この映画の中でディジュリドゥが登場するシーンがあります。砂漠のど真ん中で出会ったアボリジニとの交流の中で彼(彼女)らの踊る70年代のディスコサウンドと4万年(?)も前から続くディジュリドゥのコラボレーション。わずかなシーンながらディジュリドゥ・フリークにとっては強烈な印象を残すでしょう。白人と対照的に描かれているアボリジニ。監督は白人と先住民の意識の違いを描こうとしていたのではないでしょうか。(井上隆広)
■追記
砂漠でのディジュリドゥとのコラボシーンだが、曲名は『I Will Survive』、ディジュはAlan Darginでした。ディジュとアボリジニのソングもかぶっていて、曲の音と合ってないところがまたなんかイイ。
■ミュージカル版
ミュージカルにもなっていて日本版は宮本亜門の演出で、山崎育三郎や陣内孝則などのキャストで話題になった。
(文・井上隆広/補足・鈴木エージ)