2021
鈴木エージ
1971年 イギリス/オーストラリア合作
=あらすじ・解説=オーストラリアの都会で暮らす白人の14歳の少女と6歳の弟。ある日、父親に車で連れ出されブッシュにピクニックかと思いきや、父親が突然発砲し無理心中を図るも、子供達は難を逃れ、父親だけが車とともに死んでしまう。残された姉弟はわずかな食料と水を持ち、ブッシュを果てしなくさまよい歩く。食料も水も尽きた時、アボリジニの少年が現れ助けられる。
アボリジニの少年は16歳になると一人でブッシュで生きてゆくための旅に出る。そのイニシエーション(成人儀礼)の旅を「Walkabout」といい、彼はその途中だったのだ。水の在り処を探り、狩りをし、火を焚いて、獲物を焼き、喰らい、星の下で眠る。ブッシュで生きて行くための知恵と術を実践するのだ。
3人の旅はしばらく続いたがやがて人里近くにたどり着く。生活を共にすることでお互いを男女として意識し始めた二人。旅が終わりを迎えた時、アボリジニの少年は青年へと成長し、告白とともに「求愛のダンス」を踊り続けるが‥‥。
アボリジニとディジュリドゥ:
冒頭からディジュリドゥの伝統的な泥臭い音と都会の喧騒が交錯する。アボリジニの槍やブーメランによる狩りのしなやかさと文明による暴力的な虐殺の醜さとの対比も面白い。アボリジニの少年を演じるデビィッド・ガルピリルは有名なダンサーで、彼のダンスも見ものだ。公開年は1971年か、50年前の映画作品を僕はインターネットのamazonでDVDを買い初めて見た、というのも一種の文明だなア。(え)
(文・鈴木エージ)