JADA|映画:クロコダイル・ダンディ2_アボリジニと芸術

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アボリジニと芸術:映画

クロコダイル・ダンディ2
=Crocodile Dundee Ⅱ=

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呪術的な音の道具“うなり木 チュリンガ”の音が印象的

2007

鈴木エージ

この映画のposter
STAFF+CAST

●スタッフ+キャスト
製作:ジョン・スコット
監督:ジョン・コーネル
脚本:ポール・ホーガン、ブレッド・ホーガン
出演:ポール・ホーガン、リンダ・コズラウスキー、ジョン・メイロン、ヘクター・アーバリー他

1988年 豪州 112分 VTR = CIC ビクター


 

映画アイコン映画:クロコダイル・ダンディ2
=Crocodile Dundee Ⅱ=

=あらすじ・解説=豪州で製作された映画でたぶん最も売れたのがこの『クロコダイル・ダンディー』シリーズではなかろうか。何度か観た方も多いと思いますが、第1作が全米でも10週連続1位となったほどで、この第2作目も含め「良く出来た面白い映画だなぁ」と素直に思います。

  • この映画のシーン1

ストーリーを簡単にご紹介すると、ニュー・ヨークにやって来た主人公ミック・ダンディは美人の新聞記者スーと同棲している。勝手の違う都会でミックはあまり元気がない。そろそろオーストラリアのブッシュが恋しい頃か。そんな時、カメラマンをしているスーの前夫がコロンビアの麻薬組織のボス=リコの決定的瞬間を捉えたことで殺害されてしまう。彼が殺される前、その問題のフィルムをニューヨークのスーの元に送ったことからミックとスーは事件に巻き込まれて行く。ミックとスーは身を守るため慣れ親しんだオーストラリアのブッシュに姿を隠したが、組織が二人を追う。

  • この映画のシーン2
  • この映画のシーン3

ブッシュに帰ったミックは正に水を得た魚。庭のように知り尽くした土地で多勢の追手を次々と捉えてゆく。その奇策が面白い。加勢にきた二人のアボリジニもいい味を出している。組織側のガイドを頼まれたアボリジニも追いかけているのがミックだと知るとこつ然とブッシュに消えてしまうという、マジカルな描写も面白い。

所々にディジュの音が聞ける他、「チュリンガ」というアボリジニのうなり木が登場する。ミックがアボリジニの加勢を呼ぶために、ブッシュで「電話をかけてくる」と言って、ヒモの付いた木片を振り回すあのシーンだ。

原始技術史研究所の関根秀樹氏によると「実際、うなり木の響きは、静かな森や草原では信じられないほど遠くまで聞こえるものだが、生身の人間同士の通信に使われることはない」という。また、「アボリジニの村でこの映画が上映された時、あちこちでパニックが起きたそうだ。うなり木の音におびえてブルブル震え泣き出す子もいた」というエピソードもある。「アボリジニの社会では、うなり木はチュリンガ(神聖なるもの、という意味)と呼ばれ、これを扱えるのは成人男子に厳しく限られている。女、子どもにとっては、鳴っているそばへ近づくことも見ることもかたく禁じられ、恐ろしげな秘密の音具」なのだそうだ。

「うなり木」の音は「祖霊の声で、悪霊を追い払う強力な呪力を持っている」と考えられており、「精霊と交信するために成人儀礼や雨乞いなどで鳴らされる」という。こうした「うなり木」はアボリジニだけでなく、「アフリカ、オセアニア、ヨーロッパ、南米と世界中で古代の痕跡を残す呪術的な音の道具」として、「旧石器時代(2万年以上前)の遺跡からも骨製や牙製のうなり板らしいものがいくつも出土している」そうだ。ディジュリドゥの音もそうだが、このチュリンガの音も人間の最も深いところに語りかけてくるような不思議な力を持っているのだろう。(え)

[出典]『たいころじい』第8巻(1993年2月、十月社)に掲載された関根秀樹氏の「音の玩具箱」より引用させて頂きました。また、関根氏の著書『民族楽器を作る』(創和出版)には、作り方も含め詳しく載っています。

(文・鈴木エージ)

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