●オーストラリアン・アボリジニ Australian Aborigines ・Aboriginals

先住民アボリジニは、4〜5万年前からオーストラリア大陸に住んでいたといわれています(10万年前からという説もあるが定かではない)。農耕や牧畜をせず、狩猟採集・漁労という自然とともに暮らす原初的な生活を営んでいました。文字を持たないアボリジニは、「ドリーミング」と呼ばれる天地創造の神話や、歌や踊り、絵画によって独自の文化と伝統を変わることなく伝承し続けてきたのです。

白人の入植が始まるまでの200年ほど前のアボリジニの人口は約25万人と推定されていました。一部族当たり平均500人、約570ほどの部族が大陸中に点在していたといいます。しかし、植民化による迫害・虐殺により人口は激減。1901年の調査では約6万人まで落ち込みました。その後1920年頃から増加に転じ1987年時点で約23万人にまで回復していますが、それでもオーストラリア人口の約1.3〜1.4%にしかすぎません。また、500ほどあった言語も、現在も健在なものは10ほどしかないとされています。


1970年代以降の土地権の回復などアボリジニは、政治・経済的自立を目指すとともに、失われつつある自らのアイデンティティを取り戻すべく伝統的な生活スタイルや言語、儀式の復活、ディジュリドゥをはじめとした音楽や踊り、絵画などの芸術活動が活発に行われるようになってきています。2000年に開催されたシドニー・オリンピックのオープニング・セレモニーでも、アボリジニのパフォーマンスが大きく取り入れられていたのは象徴的です。

●アボリジニについてもっと詳しく知りたい人は、こちらの本を。

○『ユーカリの森に生きる』アボリジニの生活と神話から 松山利夫 NHKブックス
○『狩人の大地』オーストラリア・アボリジニの世界 小山修三・著 雄山閣出版
○『精霊の民アボリジニー』世界人権問題叢書8 白石理恵 明石書店
○『ソングライン』ブルース・チャトウィン=著・芹沢真理子=訳 めるくまーる
○『時のない島』谷村志穂 TOKYO FM出版
■新着!■『ブラックフェラウェイ』-オーストラリア先住民アボリジニの選択-
松山利夫・著
 御茶の水書房 定価(本体価格2400円+税) 2006年7月発刊
日本におけるアボリジニ研究の第一人者、みんぱくの松山先生が、この200年のアボリジニの人々が選択してきた生き方を、伝統的村・大都市・地方都市での違いから、現在の意識までをも明らかにする。
など。

●アボリジナル・ペインティング Aboriginal Painting

他に類を見ないアボリジニの独特な絵画は、驚くほど洗練された高い芸術性を持ち、また同時に自由奔放でピュアなエネルギーに満ちあふれています。
 他の世界からほとんど隔絶された最果ての赤い大地に、何ものも持たず大地と共に狩猟採集生活を永々と営んできたアボリジニの人々が、世界の創造の物語「ドリーミング・ストーリー」を数万年に渡り、世代を越えて伝えてきたのは、文字ではなく、この絵と歌ででした。彼らにとって絵は、物語や情報を伝える「地図」であり、「巻き物」のような役割を果たしてきたのだと考えられます。そこには彼らの宇宙観や死生観、自然観、信仰、歴史、文化、伝統…あらゆるものが表現されているのです。
ドット・ペインティング(点描画)
 あらゆるものを「点」によって描写する「ドット・ペインティング(点描画)」。この独特な手法は、オーストラリアの先住民アボリジニの人達に特有のペインティング・スタイルのひとつです。これは元々、中央部の砂漠地帯で地面に描かれていた「砂絵」を、近年キャンバスにアクリル絵の具を使って描くようになってできたスタイルです。

クロスハッチ(線画)
 また、点に替って「線」を交差させて描く「クロスハッチ(線画)」と呼ばれるオーストラリア北部に特有なペインティング・スタイルもあります。樹の皮を剥ぎ、その裏側に描かれることから「バーク・ペインティング(樹皮画)」とも呼ばれています。樹皮画では、炭の黒と白色の粘土、赤と黄色の岩をすり潰したオーカー(岩絵の具)の4色を用いて描かれています。この4色がアボリジナル・ペインティングの基本色となっています。

その他の特徴的技法
 他に、動物の内蔵などをまるでレントゲンで見た時のように描く「X線画法」。よくロックペインティング(岩絵)に見られる手形を口に含んだ顔料を吹き付けて描く技法(ネガティブ・ハンド)などいくつもの独特な技法があります。
(文・鈴木エージ)


写真
●Dot Painting
Photo by Bob Innis / Walkabout - World Vision Australia Indigenous Programs
●Cross+Hatch
Photo by Avalon Spiral・Kenji Mikami

●映画に見るアボリジニ Australian Aborigines in Movies

(1)『緑のアリが夢見るところ』=Where The Green Ant Dream=
まさに空っぽの何もないオーストラリアの原野。しかし、そこは白人にとってはウラン鉱脈の眠る「宝の山」であり、アボリジニの人々にとっては「緑のアリが眠る聖地」であった。

(2)『モンスター・クロコダイル』= Drak Age =
体長7メートルを超えるドリーミング・クロコダイル「ナムンワリ」。人間を襲う巨大ワニを鎮め元の住処に返そうとするアボリジニと野生動物保護官、退治しようとする白人との交錯を描いた結構深〜いB級映画。

(3)『ライトスタッフ』 =The Right Stuff=
”音速の壁”に挑む飛行機野郎たちが”大気圏の壁”に挑む宇宙飛行士となる「もう一つの航空史」。地球軌道を周回する宇宙船にトラブルが発生。アボリジニの祈りが宇宙船を救うのか?

(4)「クロコダイル・ダンディ2」=Crocodile Dundee U=
かなりのヒット作「クロコダイル・ダンディ」シリーズの2作目。主人公ミックと恋人スーはニューヨークからオーストラリアのブッシュへ、コロンビアの組織から身を隠す。追手の撃退にミックの奇策が。アボリジニのうなり木も登場。

(5)「夢の果てまでも」= Until the End of the World =
世紀末の世界に最後にたどり着く場所、それはオーストラリアの中央砂漠地帯だった。ロードムービーの旗手ビム・ヴェンダース監督が放つ「夢」をめぐる物語が。片腕のディジュ・プレーヤー、Chirlie McMahonも出演。

(7)「コカコーラ・キッド」= The Coca-cola Kid =
コカコーラ・カンパニーからオーストラリアに派遣された凄腕の営業マンはアボリジニのディジュ・サウンドを販売プロモーションに使おうとするのだが…。超マイナーなB級映画のご紹介。

(8)「シンガポール・スリング」
日本人の新婚旅行者がひょんなことから事件に巻き込まれ、オーストラリアを舞台にした銃撃戦に。あのDavid Hudsonも出演した徳永英明氏製作による全く売れなかった邦画がこれ。

●Coming Soon!
(6)「裸足の1500マイル」
(9)「プリシラ」Priscilla
(10)「ディンゴ」Mails Davisが出てる!
(11)「原始のマン」
(12)「ヤング・アインシュタイン」
(13)「Thomson of Arhnemland」
(14)「Blackfella Whitefella」
(15)「Yolngu Boy」
*JADA会報バックナンバーからの転載です。
*アボリジニやディジュが登場する映画の情報をお寄せ下さい。お待ちしています。
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