ウチのご近所にちょっと変わった建造物が出現した。
 五角形の基礎の上に、五角形の壁が合版で組み合わされ、さらにその上には五角形の二重螺旋状に孟宗竹がとぐろを巻きピラミッドの様にそそり立っています。(写真1)

 これを作ったのは日詰明男(ひづめ・あきお)さんという人で、歳も僕と同じくらいのこの近所では得難い数少ない友人である。(写真2)

1バンブー茶屋「星ボックリCafe」
○写真1:バンブー茶屋「星ボックリCafe」
2日詰明男(ひづめ・あきお)さん
○写真2:日詰明男(ひづめ・あきお)さん

 何と紹介すればいいのか…、
 元々建築畑の人なのだが、フィボナッチ数列とか、黄金比とか、フラクタルとかの数学的な魔力に取り憑かれ、建築だけでなくパズルとか、折り紙とか、竹籠とか、オブジェとか(写真3、4)、いろいろな分野に応用してしまうアーティストで、果ては黄金比に基づく9つのパートが周期的リズムを刻む「フィボナッチ・ケチャ」というかなり斬新な楽曲を作曲してしまう音楽家でもある。僕が説明するより彼のホームページをご覧いたいた方がいいと思います。またCDも出ているので、興味のある方はこちらに。
http://www.starcage.org/

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○写真3、4:日詰氏作の星のオブジェ兼照明

 さて、日詰さん家の庭先に突如として出現したこの竹のピラミッド様の建造物。その名も「星ボックリCafe」という名が付けられた。茶室である。丸く開けられたにじり口から入ると、1坪ほどの広さがあり、ピラミッドの頂点から自在鈎がぶら下がり、まん中に囲炉裏が設えられている。下から見上げるとこんな感じになっている(写真5)。屋根はまだ葺いていないので、雨の時には使えないが、これに屋根が付くとこうなるらしい(写真6)。
これは今年(2007年)の夏にコスタリカで作ったもので、ちょうど僕らがここ一宮町で群発地震に怯えている頃、呑気に南国のたよりと共にメールで送られてきた写真である。

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○写真5:下から見た二重螺旋構造の竹組み
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○写真6:'07年コスタリカに立てられたもの。こちらは5本の柱で建てられている
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○写真7:やけに太い竹ディジュ?で火を吹く日詰氏

 Cafeとは言え営業しているわけではない。が、この世界にまだ5つしかない珍しい空間に遠くからわざわざ来るお客さん(友人・知り合い)が絶えない。中でも一番多く来ているのが僕だ。そりゃ、そうだよ。歩いて2〜3分なんだから。散歩の行き帰りとかどうしても通ってしまうのだから仕方ない。

 そんな僕にも日詰さんはいつも快く自家培煎の美味しいエスプレッソ・コーヒーを煎れてくれます。このエスプレッソ、たった5つの松ボックリで火を焚き、煎れることができるという。「この二重螺旋を描く竹の構造と松ボックリの構造は同じなんだよ」と日詰氏。(写真7)やけに太いディジュリドゥを吹いているなぁ…じゃない、やけに太い火吹き竹で、松ボックリに火を付け、エスプレッソのポットを乗せ、待つこと数分。香ばしい香りが立ち上る。かなり贅沢なお茶の時間だと思います。

 残念ながらこの「星ボックリCafe」も年内に解体してしまうらしい。いずれまた近くに出現することを願いつつ。  (え)